収穫を楽しむためのホビーガーデニングには、葉もの類や夏野菜などの短期サイクル作物用のポッティングソイルをおすすめします。ポッティングソイルを選ぶ3つの大きなポイントは、「三相構造」「予備施肥量」「pH値」が適正かどうかです。ポッティングソイルのpH値と、すでに配合された肥料の成分と量が収穫量を左右します。現在、養液栽培をメインにしたホビーガーデニングでは、ポッティングソイル・ロックウール・ココ培地の3種類の培地が、もっともよく使用されている培地です。この3つの培地のなかで、ポッティングソイルにしかない大きなメリットは、使いやすさ、pH値が変化しにくいこと、そして天然由来のオーガニック培土であるということです。
「ソイルレス・ポッティングミックス」とは、赤玉や砂、粘土などの無機質な園芸用土を使わず、主に天然の植物由来の有機培地をミックスした有機質の「ポット用培土」のことで、オーガニックにこだわりをもつガーデナーに、高い人気があります。CANNAのTerraポッティングミックスと、Terra液体肥料のコンビネーションは、培土の肥料が収穫時期にちょうど切れるよう施肥されているため、収穫後は培土に肥料が残りません。そのため使用後には土にすき込めば、土壌の団粒構造を促す土壌改良剤として、安全に再利用もできます。
ポッティングミックスは、「天然由来の素材だけ」でできているので「大地と同じ」だと言われますが、天然の有機培地だけで作られているわけではありません。無機質培地のパーライトも、非常によく使われています。パーライトは、天然の真珠岩を高温発泡させたミネラル成分を含む無機培地なので有機質ではありません。
ピートのヒストリー
およそ紀元前12000年頃、地球の温暖化が始まると氷河期が終わりを告げ、氷河の巨大な氷床が溶けだし、北上を始めました。この頃の初期に発生、繁殖し、枯死していった様々な植物が堆積し、初期の「ピート層(泥炭層)」となりました。「ブラックピート」と呼ばれるこの地層は、現在でも新たに発見されることがあります。
長期間の間、ピート層は堆積を続けたあと、紀元前6000年〜3000年に再び短期氷河期が訪れ、ピートの堆積が止まりました。この後から、新たに堆積を始めたピートの層を「ホワイトピート」といい、「ホワイトピート」と「ブラックピート」の中間に積もった層を「グレイピート」と呼んでいます。このようにピートの種類は、ピート層が作られた時期によって分かれています。
長く親しまれてきたポッティングソイル
ポッティングミックスのベース素材には、ピートがよく使われています。接触する水分が雨水だけのピート層はミネラル成分をほとんど含まないため、最高品質のピートとされています。そのためソイルレス・ポッティングミックスのベースを、このピートにする場合は、専用肥料または海そう粉末・ブラッドミール・魚液肥・牛糞堆肥・骨粉・角粉や、ミミズ堆肥などの有機由来の肥料を加えて、多量要素や中量要素をおぎないます。
そして、微量要素もほとんど含まれないため、これらも加える必要がありますが、ピートが保持できる微量要素の保肥性は、ピートの種類ごとに違います。「ガーデンピート(園芸用ピート)」のほうが、「スパグナムモス(水苔)」よりも微量要素の保肥性が高くなります。
園芸店で販売されているサラサラした粒状のポッティングミックスの多くは、すでにpH値が弱酸性に調整済みで肥料も配合されているため、理想的な根域環境をつくり保肥性を安定させ、肥料の過不足を防いでくれます。しかし北米の廉価品ポッティングミックスのなかには、これらの成分がきちんと含まれていないことがあるため注意が必要です。そして、ホビーガーデナーがソイルレス・ポッティングミックスを選ぶ大きな理由は、使いやすさですが、ロックウールやココ培地と比べると、ポッティングミックスには長く使われてきた歴史があり経験値やノウハウに関する情報が充実しているという点からも、この有機培土は多くのガーデナーから選ばれています。