ひとくちに高位ピートといっても、その種類と品質には様々なバリエーションがあり、その違いはピート層ができはじめた海抜の低さ、採掘方法、そしてピート層ができた気候条件で左右されます。以下は、ピート層の上層から下層までを私たちが独自に調査した結果です。
ピート層の「上層」
ピート層の「上層」とは、最上層から10インチ(約25cm)までの範囲を指します。ドイツのピート採掘方法の規定では、まず最初に「上層」を取りのぞき、ホワイトピートとブラックピートを採掘した後に、「上層」を砂床に寝かせます。この「上層」には、スパグナムモス(ミズゴケ属)の直茎が多く含まれていて、水苔は完全に枯死していないため、排水性がよいのが特徴です。ピート層「上層」のデメリットとして、含まれている含有物が一定でないため品質にバラツキがあることです。
スパグナムモス・ピート(ミズゴケ・ピート)
スパグナムモス・ピートとは、部分的に腐朽が始まったスパグナムモスの層で、できて間もない新しいピートを指し、自身の重量の10~12倍の水を保持することができます。色は白っぽく、ミズゴケ属に属する様々な種類のミズゴケが混ざっています。スパグナムモス・ピートは枯死して間もない有機物なので、古いピートよりも分解しやすいのが特徴です。現在スパグナムモス・ピートは、ほとんどの高品質のポッティングミックスに使われているピートです。
ピート・リター(ピート・リッター)
ピート・リターやピートダストは、ピート上層のリター層と呼ばれる部分から抽出されます。リター層とは、わずかに分解が進んだコケが積み重なっている部分で、明るい茶色をしています。ピート・リターは、自身の重量の少なくとも8倍の水分を吸収でき、水分の吸収・排水がスパグナムモス・ピートよりも遅くなります。ピート・リターの繊維の長さには「細かめ・普通・粗め」の3種類があり、粗めのほうが良いとされています。抽出方法によって、繊維の長さが違ってきます。
短繊維で細かめなピート・リターは、単層ごとに水平に切り出されたピート層を乾燥させて収穫する方法で、コストが最も安くすみます。長繊維で粗めのピート・リターを収穫するには、コストのかかる「垂直掘削法」で採掘しなければなりません。
ブラックピート(永久凍土層でないもの)
永久凍土層ではないブラックピートは、オールドピート、チャンプピート、または覆土用ピートとしてよく知られており、乾燥させると大幅に縮んで保水力が低下するため、ポッティングソイルには不向きなピートです。ブラックピートを完全に乾燥させると、非常に硬い圧縮ピートになり、燃料にも使われます。
ガーデンピート(園芸用ピート)
ポッティングソイルのメーカーにとって、ガーデンピートは重要となる素材です。ガーデンピートは、湿ったブラックピートが冬期に凍結することによってできます。ガーデンピートの品質は、凍結をくり返したほうが良くなります。ブラックピートが凍結すると、保水力が高まり圧縮が抑えられるため、乾燥後のガーデンピートは本体重量の少なくても4倍の水分を吸収できます。ガーデンピートは、かなり分解が進んでいる状態を示すサインである濃い茶色をしています。非常に細かな粒子状になっていて、空気の含有量は少なめです。
「カラード」ピート
「カラード(有色)」または「グレイピート」は、ホワイトピート層とブラックピート層の中間にあたる層から採掘されます。この層はホワイトピートよりもさらに分解が進んでいて、ホワイトピートとブラックピートを混ぜたような色をしています。「カラード」ピートは、ピート・リターやスパグナムモス・ピートよりも保水力が低くなります。